ヘッドレス5弦ベース“EHB1265MS-NML”の全体調整【楽器製作所RMI】

ベース全体調整 EHB1265MS-NML

どうも、るいなです。

新年があけましたが、いかがお過ごしですかみなさん。

マークX 120系 マフラー交換

僕は車の下に潜りマフラー交換を交換したり、ピックアップを傾ける年末でした。

最近は全体調整や弦交換など、日々のメンテナンスをお任せいただけることが多いです。

ご自身でもできることなのに、僕に頼んでくださる。これは嬉しい。

ベースナット調整 EHB1265MS-NML

今回も弦交換と全体調整のご依頼。

全体調整は“ネック調整・弦高調整・オクターブ調整”の項目をお客様のプレイスタイルに合うようにセットしていく。

あとはナットが外れていたので付け直したり…

ベース EHB1265MS-NML イコライザー

イコライザーのつまみが緩んでいたので、締め直した。

しかしこのベースは良い。

ヘッドレスの楽器はブリッジの操作性やヘッドピースの耐久性が課題となる。

そこはオタクの味方アイバニーズ様、ブリッジも柔らかくチューニングしやすい。

ヘッドピース本体も2点支持でヘッド裏に固定されており、弦交換の際にも左右にズレることがなかった。

ヘッドレスタイプの楽器はまだまだ発展の途中だが、このIbanez EHBシリーズは優秀すぎる。

・値段:15万円前後

・見た目:かっけぇ

・重量:4弦3.0kg前後/5弦3.3kg前後/6弦3.7kg前後(※個体差があります)

【公式】Ibanez EHBシリーズ一覧

ベース全体調整 EHB1265MS-NML

【Amazon】EHB1265MS-NML ヘッドレス 5弦エレキベース

なんかアイバニーズさんの宣伝しちゃったけどそういう企画とかじゃないです。

個人的に気に入ったので共有したかったのと、新年のご挨拶でした。

“楽器製作所RMI”に関わってくれた方が楽しい2024年を過ごせることを願っています。

今年もよろしくお願いいたします。

おわり。

【作業用BGM】メタルバンドが産んだ“チルい”曲3選【2023年最新版】

作業、集中できてますか?

僕はできていません。

なぜなら作業用BGMが良すぎて、つい聴き入ってしまうから。

それも、メタルバンドの作るチルい曲がたまらんのです。

普段は暴れているのに、アルバムにこっそり仕込ませた穏やかな一曲が心に浸透するんです。

Chill(チル)とは…
英語のスラング“Chill out”より由来。まったりする・くつろぐなどの意味で使われる。日本では「チルする」「チルい」と言われている。

今回はアーティスト問わずリピートして作業中に使える、お洒落なBGMをご紹介。

どれもメタルバンドのアルバムより抜粋した、激選の名曲。

それでは、いってらっしゃいませ。

ハスキーボイスの脱力ラブソング『Bad Omens』。

いつも聴きやすいメタルコアを提供してくれる、アメリカンロックバンド『Bad Omens』。

アルバム中盤にこっそりと忍び込ませた脱力感のあるラブソング『Who are you?』がたまらない。

メタルコアの影を感じるハスキーボイス。色気が溢れ、あまりにもお洒落。

個人的なイメージは都会の冬。消えない灯を眺めながら、まったりドライブしたくなる。

言わなければメタルコアバンドの曲だとバレることはない、はず!

最高の曲。大好き。

日本のCMにも出演した超有名バンド『BMTH』。

『Bring Me The Horizon(ブリングミーザホライゾン)』。

頭文字を取って“BMTH”なんて呼ばれている、世界的にも有名なアーティスト。

実は、“SONY Xperia 5”のCMで日本のメディアにも出演している。

知らない間に耳にしていた方も多いと思う。

そんな彼らの中で、個人的に最も理解が難しかったアルバム“Music to listen to-dance to-blaze to-pray to-feed to-sleep to-talk to-grind to-trip to-breathe to-help to-hurt to-scroll to-roll to-love to-hate to-learn Too-plot to-play to-be to-feel to-breed to-sweat to-dream to-hide to-live to-die to-GO TO”より、 『Candy truck』という曲を紹介したい。

待って、アルバムのタイトルが長過ぎる。

ちなみに、このアルバムは特徴的な作品。好みが分かれるかもしれない。

そう。今までのバンドサウンドとは少し離れたユニークな曲がたくさん盛り込まれている。

この“Candy truck”は低解像度に聴こえる、ローファイなサウンドが魅力。

しかし、リズムに関してはメタルバンド。キレキレのビートはしっかり現代。

冒頭から徐々に音が増え、盛り上がっていく。

そして5:00〜、謎に落ち着く。

そこからは環境音のような浮遊感でラストを迎える。

終始、レコードを流しているような空間を作り出してくれるレトロな曲。

度数強めのカクテルをゆっくり飲みながら聴きたい。しっぽり。

極悪メタルバンドの創る和風チルアウト『Within Destruction』。

スロベニア産のメタルコアバンド“Within Destruction”より。

どこか和風なコンセプトを感じる2020年に公開されたアルバム“Yōkai”。

そのラストを飾る『Tokoyo-No-Kuni』が新鮮で良い。

なんと言ってもこの曲の魅力はひとつ前の“Sakura”から繋がっている展開にある。

バリバリのモダンメタルコアである“Sakura”から、ひとつの曲のように通して聴くことができる。

“Sakura”のギターソロを演奏しているのは“Jason Richardson”。我らオタクの中では絶対的ヒーロー。

彼のソロを聴き終えた直後にこの『Tokoyo-No-Kuni』でクールダウンする。

これは終盤2曲をセットで聴いていただきたい。

普段は極悪な『Within Destruction』の可能性の大きさを感じることができる。

まとめ

これは僕のリラックスタイム。

完全にカッコつけている。

普段はインスタグラムのストーリー機能を使い、好きな曲をまとめている。

しかし、インスタ程度では語り足りない。好きが溢れてしまった。

そんなわけでブログにまとめようと思った。

あなたのお好みが見つかれば幸い。

共感してくれる人は今すぐ仲良くしてほしい。DMを頼む。リツイートも嬉しい。

おすすめの曲、教えてくれるのも幸せ。

待ってます。

おわり。

【リペア】あなたのセンターずれはどこから?【楽器製作所RMI】

小学生の頃に流行った風邪薬のCMのセリフを真似してタイトルを付けるなんて僕もおぢさんになった。

ところでベンザブロックのCMってまだやってるの?

知ってたら教えて。

前置きがうるさいと定評があります。るいなです。

本題に入りましょ。

『あなたのセンターずれはどこから?』

1月中旬のお昼。

ギターが届いた。

そこを開けると素晴らしい杢目があった。

これはリペアのご依頼で届いたイケメンな7弦ギター。

オーナー様によると“弦落ち”が気になるとのこと。

弦落ちとは : 演奏中に弦が指板の外側に落ちてしまうこと。1弦のビブラート奏法中に起こる事が多い※ジャガー・ジャズマスタータイプのギターの場合、サドルから弦が外れてしまうことを指すことが多い。

確認したところ“センターずれ”という症状が起こっていた。

センターずれについて詳しく書くと夜が明け、スマホが摩擦で燃え上がるので控える。

症状を簡単に説明しよう。

今回はネックが1弦側に傾いて取り付けられていた。

そのため、指板の端と1弦の間に適正なスペースが無くなっていた※ピンク色の矢印を参照

証拠として、7弦側のネックポケットに最大1.3mmの隙間。

今回はこの斜めに取り付けられたネックを本来の位置に戻すリペア。

はじめていこう。

弦を取り外し、ネックとボディを解体。

傾きの原因を探した。

見たところ大きな異常はなさそう。

どうやら、細かいゴミの影響で噛み合わせが悪いらしい。

ネックポケットに詰まった粉塵を除去、ネジ穴も掃除する。

これ、掃除したあとなんだけど…

写真だと何にも変わってないように見えるな…

まあ、ネックを取り付ければ結果がわかる。

みてて。

ほら。本来の位置に戻った。

だが、安心してはいけない。

弦を張って確認してみる。

リペア後

1弦から指板の端まで、約4.5mm。

リペア前

センターがズレている状態で約3mm。

約1.5mmの修正に成功した。

こうして数値で改善の結果が見れるとわかりやすい。

念のため、別角度でネックの取り付け位置を確認。

今回も無事にリペアができたと思う。

めでたしめでたし。

最後に弦交換をして納品。

退院おめでとう!Ibanez RG1027PBF!!

タイトルに戻りまして、

『あなたのセンターずれはどこから?』

「私はネックポケットの粉塵と噛み合わせから!」

ということで締めたいと思います。

センターずれのリペア料金は税込11,000円から。

参考になれば幸いです。

そしてオーナー様より、心が温まるお言葉をもらいました。

僕はこの一言でこの冬の寒さを乗り越えられます。

リペアの受付が難しい中でも、気長に待ってくださいましたオーナー様へ。誠にありがとうございます。

そして、ここまで読んでくれたオタクへ。ありがとう。僕は同志の繁栄を願う。

このギテェかっけぇすぎ!

リペアを検討している方へ。

以下のフォームに記入の上、DMをお送りください。

なるべく早くお返事します。

【リペア依頼フォーム】

  • お名前
  • 楽器のメーカーと型番、または写真
  • お悩みの症状
  • 好きな曲

ロックペグでも半周くらい巻くと精神的に安定するよね。

おわり。

【調整】エレキギターの弦高は何ミリがベストなのか【楽器製作所RMI】

ギタリストを悩ませる“弦高問題”。

様々な意見があり、結局どうすればいいのかわからなくなってしまう。

今回は少しギターという楽器に慣れ、「ズバリ弦高は何ミリにしたらいいのか」という悩みを持つ中級者に向けてご提案。

ありがたいことに、某楽器店での勤務経験や楽器製作所RMIというものを運営しているため、様々なギターやベースを診てきたつもり。

正解がわからず、こだわりなく全体調整をお願いしている方には是非とも読んでいただきたい。

RMI#01 – Cocytus は基準よりもさらに低いセッティング。

【1弦1.4mm / 6弦1.8mm】

当工房ではこれを基準としています※12フレット上での計測

その他、多弦ギターも得意としているため追記する。

【7弦2.0mm / 8弦2.2mm】

6弦ギターのセッティングに加え、7弦・8弦をお使いの方はこちらを参考にしてほしい。

2弦から5弦の弦高は“指板R(Radius)”と呼ばれる指板上のカーブの要素も加わってくるため、この場では明記しない。

ちなみに、私は指板20R”(508mmR)のギターの場合はご覧の通りにセットアップ。

これは早弾き専用のセットアップなので基準と比較してもかなり低い数値。

この高さまで弦高を下げることの出来るギターは市販品ではそう多くない。

理想の弦高のひとつ。

弦高調整は12フレットの上に定規を当てて測定する。

弦高は主にブリッジのネジを回して下げることが多く、それはギターを購入した際に付属している工具を使用する。きっと六角レンチで調整するタイプのブリッジがほとんど。

そして気をつけることはサイズの合わない工具は使わないこと。

最悪の場合、空回ってしまいネジ山が潰れる。そうなると修理は困難になる。

新品との交換も検討しなければならないので注意が必要。

ネックの状態や指板ラディアスなど、様々な要因を含む弦高問題。

「正解」とまでは言えませんが、ひとつの基準として覚えていただけましたら幸いです。

・弦の芯線を考慮し、ピックアップのポールピースに合わせた弦高調整。

・弦移動がやりやすいよう、弦の最頂点を基準にした弦高調整。

・弦の振動幅に合わせた、音質重視の弦高調整。

など、それぞれの“理想”があり、突き詰めると沼にはまってしまうのが“弦高調整”。

しかしご安心を。ここまで読んでしまったあなたはもう弦高オタクになる素質があります。

良きオタクであれ。なんだこの締め方は。

おわり。

【自由研究】夏休みはネック調整をしよう【楽器製作所RMI】

どうも、るいなです。

え、花火大会、いきました!?

僕は退勤中に渋滞に巻き込まれ、車内でファイナルを見届けました。無念。

あとは毎年お決まりなんだけど、アニメ“電波女と青春男”に影響され、夕方から夜にかけてコンビニと廃墟を徘徊します。夏の夜ってなんかワクワクするじゃん!

いけない。

つい浮かれすぎてしまった。

ところで前回の全体調整編はいかがだっただろうか。

楽器のセットアップについて知りたい方が多いように感じたので今回も調整編。“ネックの反り”についての考え方を公開してみる。

『ネック調整』に困った際、この記事を見返して参考にしてくれれば何より。

この記事はギターの構造から説明するため、読むことで本質的にネックの反りを考えられるようになる。はず。たぶんね。

では早速。

『ネックが反る理由』

ホンジュラスローズウッド : 指板材

ギターという楽器の永遠の悩みであるネックの反り。それは木材が動くために起こる現象※一部樹脂製のネックもあるが、それでも全く動かないわけではない。

「木材が動く?」

そう。ギターは“木”で出来ている。そのため、湿度や温度により伸びたり縮んだりする。

ホンジュラスローズウッド : 指板材

目で見てわかるほどのUの字になったりはしないが、0.1ミリ単位では確実に動いているのだ。

特に、大きくて厚いボディ材とは違い、ネック材はあんなに細い。しかも弦の張力も加わっている。

つまりネックには“常”に大きな力が働いている。

RMI #01 – Cocytus : ネック調整後の弦高

[ネックが形状を維持しようとする力+弦の引っ張る力]

この2つのバランスが保たれることによって快適に演奏ができるのだ。

では、このバランスが崩れたらどうなるのか。

弦の力に負け、表に向かってネック材が反ってくる。つまり指板と弦の距離が離れ、弦高が高くなる。

これが“要調整”の状態。

『反ったネックの調整方法』

そこで、バランスを元に戻すために使われるのが“トラスロッド”。ネック内部に仕込まれたボルトと金属の板を合わせたパーツだ。

これを締め込むことでネック材の裏側(指板が貼られていない側)に力がかかり、強制的に反らせることができる。

つまり、“表に向かおうとする弦の力”に、“裏に向かおうとするトラスロッドの力”を加えて対抗させる。

そこで気をつけ欲しいのが、トラスロッドを締め込みすぎてしまうこと。やりすぎた場合“逆反り”という現象が起こる。

これはトラスロッドが効きすぎて、裏に反らせようとする力が強かったということ。弦がフレットに当たってしまい振動せず、音が鳴らなくなるようだったらトラスロッドの効きすぎを疑おう。

これらのバランスを把握し、適正なネック状態にセットアップすることを『ネック調整』と呼んでいる。

トラスロッドを回す時は弦を少しゆるめ、六角レンチにて少しずつ力を入れよう。そしてどのくらい回しているのかもメモしておくと今後の調整で不安がなくなる。

『まとめ』

【順反り】ネックが弦の力に負けている状態。

【逆反り】トラスロッドが効きすぎている状態。

このバランスを保つことが『ネック調整』ってこと!これさえ覚えて帰ればOK!

ちなみに、楽器製作所RMIでは指定が無ければ、6弦ギターは『わずかに順反り』。

それ以上の多弦ギターは『ストレート』にセットアップしている。

そう、ネックの状態も人それぞれ、そして楽器によってもベストが異なる。

ご自身で研究し、突き詰めても良い。お近くの楽器店、もしくは信頼できるリペアショップに相談しても良い。

これを読んだあなたなら、自分にぴったりのセッティングが見つかるはず。

今年の夏はネック調整にこだわってみてはいかがだろうか。

楽器製作所RMI : 試奏ブース

以上、楽器製作所RMIからの“夏休み自由研究課題”でした。

おわり。

【後編】5つで決まる『全体調整』のポイント【楽器製作所RMI】

こんにちは、るいなです。

いよいよ夏も本番。いかがお過ごしですか。

楽器製作所RMI : 裏道側

僕はポテト&キャラメルラテ両手に夕方のお散歩。あとは読書のために公園までドライブ。そして真夜中に工房の草取りなどしています。ずっと真夜中でいいのに。

さて、今回は『全体調整』についての後編。

前編に引き続き、具体的な作業の内容を解説していく。

では早速。

③オクターブ調整

これは“12フレットでのチューニング”と考えてもらえればわかりやすい。

音程が正確だと音がスッキリする。特に、バンドで音を合わせた際にそう感じられるだろう。

RMI #11 – Cthulhu

開放弦でのチューニングはあなたもしているはず。ただ、それだけでは12フレット以上のハイフレット付近を押さえた時に音程がずれていることがある。

これはギターやベースという楽器の特性上、弦の太さが違うために起こる現象。6弦のギターなら1弦と6弦の太さを比べてみてね。

RMI #11 – Cthulhu : ABM製シングルサドルブリッジ

具体的にはブリッジに付いている駒を前後させ、開放弦と12フレット付近の両方でチューニングし、音程が合うようにする。

これを『オクターブ調整』という。

新品であればメーカーから出荷される際に調整してあるはずだが、演奏していると少しずつズレてくる。

その為、定期的にチェックする必要があるのだ。

④指板のケア

これは2つの項目を指す。

“フレット磨き”と“保湿”だ。

フレットを磨くと右のようにピカピカになる。

これによる恩恵は“フレットの上をスライド”させる奏法(チョーキング・ビブラート)の際に滑らかに動いてくれること。

くすんだフレットでは、ガリガリと削るようにチョーキングするため弾き心地が悪いと感じるはず。

具体的な作業としては、ピカーメガネ拭き用クロスに染み込ませ指でひたすらゴシゴシ!以上!

なんとも地味。

そして指板の保湿は写真の通り。色が濃くなり、艶が出ているのがわかるだろうか。

黒っぽい色の指板であれば、半年に一度ほどこの保湿を行う必要がある。

なぜなら最悪の場合、乾燥しすぎて割れるから。

実はこのような黒い指板(ローズウッド・エボニーなど)は木材が剥き出し。塗装がされていないためデリケートなのだ。

※リッケンバッカーなど、ローズウッド指板でも塗装されている楽器もある。

なのでその最悪のケースを避けるため、半年〜1年に一度は保湿することをおすすめする。

ちなみに当工房ではワックスを使って保湿している。

もちろん、昔ながらのオレンジオイルやレモンオイルでもOK。

個人的には固形タイプが好みだったため、ねこだまり工房さんの蜜蝋ワックスを使用している。

【Amazon】精油入り自家製クリア蜜蝋ワックス

⑤弦交換

これはその名の通り、弦を新しいものに交換する。

あなたも弦が切れれば交換すると思う。

しかし、そうでなくても時間の経過により金属製の弦はサビたり伸びたりするため、定期的な交換をおすすめしている。

RMI #12 – Cocytus

個人的には『全体調整』をしながら交換してしまうのがよいと思っている。いい機会だし。

音程が合いにくくなってきたり、触ると茶色い粉(サビ)が出てくるならすぐに交換しよう。

実はこの弦交換も奥が深くて。

なんと“弦の巻き数”によっても弾き心地が異なる。

RMI #06 – Cetus mini

多めに巻くと強く張られているように感じ、ロックペグなどにより1周程度の巻き数だと弦がゆるく張られているように感じる方が多い。

これはナットへの“入射角”が影響し、弦が振動する位置が変化するため、弾き心地が変わるのだと推測している。

RMI #13 – Cetus : ロックペグ1周巻き(入射角大きめ)

例えば、当工房の作品の多くはダウンチューニングにも耐えられるよう、弦がナットへ向かう角度は大きめの傾斜をつけている。

ロックペグを採用しているため、巻き数を増やせず入射角を稼げない。代わりにヘッド自体の落とし込みを深くすることで入射角を稼ぎ、ダウンチューニングでも張りを保った弾き心地になるように努めている。

RMI #02 – Cetus

この“ストリングガイド(白い4つ付いてるやつ)”もその入射角を指定するためのアイテム。

「………ちょっと待って」

RMI #05 – Cetus

あまりにもオタクな内容になってきた反省。

ということで“テンション感”については諸説あり、感覚的な話にもなってくるのでこの場では以上とする!

いずれデータを取って明確にしたいね。

RMI #01 – Cocytus : ストリングガイド3ヶ所

なんかめっちゃ語ってしまった!恥ずかし!

【まとめ】

『全体調整』を広く浅く、後編は一部を深めに紹介してみました。いかがでしたか。

初心者からマニアックな上級者まで、楽しんでもらえる記事になっていたら何よりです。

最後の“⑤弦交換”のように突き詰めようとすると色んな説があります。

こんな意見もあるんだな、と参考程度にしてください。

以上、RMI流の全体調整でした。

  • 楽器製作RMI 全体調整 : ¥3,300(税込)~

それではまた会いましょう。

おわり。

【前編】5つで決まる『全体調整』のポイント【楽器製作所RMI】

どうも、るいなです。

「最近へんな雨多くないですか!?」

え、梅雨明けしたんじゃないの…ネック反ってきたじゃん…

というわけで異常気象のおかげか、ひと足遅れて『全体調整』のご依頼が増えてきた2022年の7月下旬。

そう。この“全体調整”というワード、よく言いますよね。楽器屋さんでも案内されたり、聞き覚えがあるかと思います。

では、具体的になにをしているのか。あなたはご存知ですか?

「そんなことも知らないの!?」

なんて思われたくなくて今更聞きにくい気持ち、めちゃくちゃわかります。考えすぎかなぁ。

14歳のギターを始めたばかりの頃、楽器屋さんで

「とりあえず全体調整で!」

ってお願いしたことあるんです。

いやあれ、すごい度胸必要ですよね。

僕はすごく緊張してしまって…だって何を調整してくれるのか知らなかったんだもん…

それ以来、自分で調整するようになりました。社会不適合すぎでしょ。

しかし!

“あなたにはそうなってほしくない!”

自信を持って「全体調整お願いします!」してほしい!

ということで『全体調整』が具体的に何なのかを説明します。

この前編では主に弾きやすさを左右する2つの項目を解説。残り3つは後編にてご紹介。

それでは前編、参りましょう。

①ネック調整

結論から言うと、セットアップとして間違いないのが“やや順反り”の状態。

順反り : 弦の張ってある方向に向かってネックが反っている状態。

しかし、弦を弾く力加減や演奏する曲のジャンルにより“最良”の状態は変化する。

例えばチョーキングを多用する、ブルースを演奏するのであればネックは少し順反り。

速弾きを行うメタル系が好きならネックの状態はストレートでもOK。

ネックの状態は“順反り・逆反り・ストレート”の3種類に分類される。

これらは弦を弾く力と振動する幅を考慮して判断しているため、人それぞれ“最良”が異なる。

あなたの好みを理解してくれるリペアマンが居れば心強い。

RMI #11 – Cthulhu : ネック内部

『ネック』とはその名の通りギターやベースの“首”。

とても重要な部分のため、極端に曲がっている場合は矯正を行う。人間も首が曲がると身体の至る所に不具合が出るでしょ。たぶんそれと同じだよね。たぶん…

RMI #13 – Cetus ネック内部

その矯正は“トラスロッド”というネック内部の長いボルトを回して強制的にネックを反らせて行う。

画像は指板を貼る前のネック。トラスロッドは中心の赤い棒。

トラスロッドは回し切ってしまうと修理が難しく、リペアの代金も高額になってしまう。

そのため、[楽器の寿命=トラスロッドの余裕]とも考えられる。

「いつものセッティングで!」

この一言で伝わる腕のいいリペアマンを知っていれば、それは今後の音楽生活において何よりの財産になるだろう。

②弦高調整

『弦高』これは弾きやすさに直結している。

RMI #01 – Cocytus : 12フレット位置の弦高

この“弦高調整”は主にフレットと弦の距離のことを指し、

「弦高0.7mm達成!!!!」

などと、セットアップを詰めたことにより自己顕示欲を満たそうとする人もいる。僕とかね。

弦高は低ければ“良い”わけではない。

軽いタッチで音を出したい人は低め。チョーキングで良い音を出したい方には高めのセッティングをお勧めしている。

弦高の調整はブリッジにより異なるが、小さいイモネジと呼ばれるもので上下するものが多い。

調整する際はそのイモネジを絶対に無くさないこと。これが何より大切。

当工房での“弦高高め”の具体的な数値は

[1弦1.4mm / 6弦1.8mm]※2022.9.9.更新

としている。

“弦高低め”の具体的な数値は上記にもある自己顕示ツイートを参照してほしい。

新宿駅 南口バスターミナル前。迷惑そうな顔をしつつも弦高を確かめてくれた友人R。

RMI #02 – Cetus

おい、野外で楽器を振り回すな。

【まとめ】

今回の前編では、弾きやすさを左右する『ネック調整』と『弦高調整』を説明してみた。

いかがだろうか。

結論としては『やや順反り』『弦高1.4~1.8mm』が無難かと思われる。

ただ、これはあくまで基準。

気の許せるリペアマンと情報交換をしながら詰める。このひと手間であなたの楽器はもっと力を発揮できる。

後編では、音程やフレットに関しての残り3項目を解説している。

そのまま後半もご覧あれ。

 

よい夏を。

おわり。