8弦ファンドフレットのナット交換【楽器製作所RMI】

ギターリペア ナット交換 黒水牛の角

どうも、るいなです。

毎年ハロウィンの時期はなんか調子が狂う。

やっぱりオバケたちが活発になる時期なのかもね。

ギターリペア ナット交換 黒水牛の角

今回はナット交換。

いつもの通り、とんがったギターが搬入されました。

目的は2つ。

・太い弦を張りたい。

・黒いナットにしたい。

ギターリペア ナット交換 黒水牛の角

こちらの白いのが純正のナット。

さっそく取り外し、お気に入りの素材である“黒水牛の角”を加工する。

ギターリペア ナット交換 黒水牛の角

というわけでナットができた。

純正の弦よりも太いゲージを張りたい場合、ナットの交換をおすすめしている。

理由は以下の通り。

・弦がナットの溝幅よりも太く、弦が溝の途中までしか入らない。

・弦が溝の途中までしか入らないため、弦高が高くなってしまう。

・弦高が高いため、押弦の際に音程がシャープしてしまう。(弦を引っ張る距離が増えるため、目的の音程よりも高い音が出る)

要するに、弾きにくくなるし音程も合わなくなるね!ということ。

ギターリペア ナット交換 黒水牛の角

太い弦張る時はナットをよく見てねってことだね。

ちなみに、この楽器は“Ormsby Guitars”。

最近はピックアップやブリッジなど、ハードウェアも販売している。

個人的には“TX GTR Run 15”というテレキャスターのようなモデルが好き。

意外と安いし、デザインもかわいい。

Ormsby Guitars TX GTR Run 15

少し調整をしてあげれば、抜群に弾きやすくなると思う。

なんかおむすびギターさんの宣伝しちゃったよ…

いつも通り、やりたい放題のブログでした。

おわり。

ナット交換:11,560円(税込)〜
※仕様により価格は変動します。

集合体恐怖症を克服する8弦ヘッドレスギター『#15 – Lotus』【楽器製作所RMI】

8弦ファンドフレットヘッドレスギター

注目すべきは8弦とかヘッドレスとかそういうことじゃない。

そう、なんと言っても価格。価格が魅力的なのだ。

[ 264,000円(税込)]

これは天下のヘッドレスギターブランド、“ストランドバーグ”のOSシリーズに並ぶ価格。

ちなみにこちらは売約済み。

拡散してくれてありがとう!

お陰さまで無事にオーナーが見つかりました。

スペックを紹介する前に売れてしまった個体ではあるが、語りたいことが山ほどある。

ということで今から楽器の徹底解説がはじまる。

準備はよいだろうか。

デザイン

これは『ハス』をモチーフにデザインされた楽器。

8弦ギターの理想を詰め込み、コストパフォーマンスを優先したモデル。

ロゴも蓮の花に見えるだろうか。

抹茶ラテ飲みながら描いたけど大丈夫そ?

ボディ

ボディの材質はアルダーという木材。

1ピースという、継ぎ目のない一枚板を使用した。

アルダー材はとても好きなので終始ご満悦な笑顔でつくっていた。

ちなみに楽器の総重量は約3kg。

カラー

色の名前は“クンツァイトピンク”。

クンツァイトは鉱石から由来している。

パープルにも見える、ピンクのような淡い色合いの石。

ジュエリーコーディネーターの資格も取ったし、せっかくなので鉱石の名前を使ってみた。

これは色をつくっているところ。

明るいところではピンク。暗いところではパープル。

素敵な色だと思う。マジカワイイ

ネック

ネック材はメイプル。

人工乾燥された木材を使用した。

仕入れ先の話によると、木材の中に含まれている水分の量が管理されているらしい。

過去の作品でもこれを使ったが、とても良かったので今回も迷わず採用。

ヘッドの裏側には手書きの製造番号。愛が詰まっている。

それにしてもボリュートがデカい!!!!

6弦ギターのネック形状から、引き伸ばしたように8弦まで造形した。

ネック頂点は6弦ギター。そこに7弦と8弦を付け足したイメージ。

個人的には大好き過ぎてこれしか弾きたくない。そのくらい気に入った。なのでみんなに広めたい。そういう気持ち。

指板

スケールは“28~25.5インチ”。

あまり見たことのないファンドフレット仕様だと思う。

なぜこのスケールを採用したのか。

以前、27.5インチの8弦ギターを製作した。

その際に「惜しい!」という弾き心地だった。

なので0.5インチ、ミリ換算だと1.27センチ長い指板をつくった。

正解。

これは正解した。8弦を“Low E”で鳴らすにはこれがベスト。

僕は思った。8弦を鳴らす理想のスケールは“28インチ”だと。

そして1弦側のスケールは“25.5インチ”。

1弦側はいわゆるフェンダースケール。

これはチョーキングなど、弦を引っ張ることを考えるとちょうどいいスケールだと感じている。

弦を長く張ると、引っ張る力が強くなってしまう。

なので、1弦側は使い慣れたこのスケールがいちばん。

これは指板の磨きが完了したときの写真。

指板の素材はメイプル。

ちょっとだけ杢目が入っているのでかわいい。

「そんな恥ずかしがり屋のメイプルも……ちゅき….」

あ、これインスタで流行ってるやつ。誰か僕のギターバージョンでやろ?

撮影の協力者を募集します。

チューニング

推奨チューニングは8弦から

[E・A・E・A・D・G・B・E]

要するに、ベースの4弦、3弦+6弦ギターのレギュラーチューニング。

そう、この8弦の“E”と7弦の“A”はエレキベースと同じ音程。

最高でしょこんなの。

あほな音が出る。

ギターソロプレイヤーは、一本の楽器でベースラインとメロディを同時に演奏することが可能。

そしてメタルコアプレイヤーは“Low E”を鳴らして楽しくなれる。

何より8弦の“E”の音程は、レギュラーチューニングの6弦ギターのオクターブ下の音程なので扱いやすい。

運指が簡単なのに、音程差のあるリフをつくることが出来る。

“楽器に弾かされる”

そんな感覚を味わってほしい。

フレット

フレットの素材はニッケル。

ステンレスフレットが流行ってるけど、ニッケルフレットが劣っているわけではない。

ご覧の通り、指板の側面を大きく面取りしている。

そして指板の側面からフレットタングと呼ばれる凸の跡が見えない。

これはポジションマークが見やすくなるのでおすすめ。

指板にフレットが乗っているだけかのように見えるので、ルックスもパーフェクト。

ネックジョイント

様子がおかしい。

常識的に考えてネックジョイントのビスは10個も要らない。

いや!待って、聞いてほしい。今回のモデルはロータス。

つまり『蓮』。

あなたは“蓮コラ”をご存知だろうか。

あれは蓮の花が散ったあとに残る花托。

このネックジョイントの理由が知りたい方は今すぐ[蓮コラ]で検索。

全てを理解することができる。

ちなみにネジは全て六角。工業製品感がたまらん。

コントロール

操作方法は簡単。

ボリュームがひとつ。ピックアップのセレクターがひとつ。

ボリュームポットをプッシュすることでハムバッカーをシングルコイル化する、コイルタップ機能を搭載。

最初はとにかくシンプルに。

あとはお好みで改造してください。

『Lotus』は理想をつくり上げるためのうつわです。

キャビティの穴はその為に大きく空けておいた。

拡張して好みに仕上げていく、そんな楽しみ方をして欲しい。

あとはキャビティを大きく空けた恩恵なのか、音に少しホロウ感がある。気がする。気がするだけかもしれない。

チェンバーボディにしなくてもいいじゃん、となってしまった。軽量化もできているし。配線の拡張性も高い。かんぺき?

あ、これは裏蓋ついています。

透明なので裏蓋がないものかと勘違いされて楽しいです。

これはただの趣味。眺めて綺麗だなあ。ってやるための構造。アクアリウムだね。

もちろん裏蓋を留めるネジも六角。

シリンダージャック

これは特にL字のシールドを使うことで恩恵を感じる。

なぜなら、ブリッジの下にシールドを通すことが出来るから。

このように抱えてもシールドが足に刺さることはない。

これがかなり便利。

ヘッドレスギターはシールドを挿すと、この構え方が出来ないことが多い。

造形美しか考えてないように見えるのに、実は機能美がある。

これが大好き。

そして、美しいものは性能も高いことが多い。

いろんなメーカーの部品やネジを触ったけど、そんなことを思った。

ゼロフレット

これはいわゆる“0フレット”。

実はこれ、最近の機構ではない。

モズライトというギターは1963年からゼロフレット仕様を採用している。

昔はナットの精度が高くはなかった。そのため、開放弦の位置に0フレットを打ち込むことで1フレット以降と寸法を合わせたらしい。

かしこいと思う。

なので僕も採用した。

ちなみに、別途でナットも必要ではある。

それは弦の横移動を抑えるため。

ナットの素材は“黒水牛の角”。いつものだね。聞き慣れちゃったね。

それにしても“クンツァイトピンク”を締める、ブラックとシルバーのバランスがいい。

オシャ!なカラーリングだね。

ストラップピン

ストラップピンは普通のやつ。

ロック式にしたい場合は後からいくらでもできるし。

とにかくデフォルトはシンプルに!

ピックアップ

ピックアップはナズグル&センティエント。

今のところ、ベストな組み合わせだと考えている。

僕の『#02 – Cetus』にも採用している。

楽器製作所RMI - モデル一覧

とにかくデフォルトはシンプルに!

この精神を忘れてはならない。

感想

感想ってなんなんだ。小学生の図画工作か?

いかがだろうか。

新作のヘッドレスギター『Lotus』。

お気に召していただければ何より。

変なギターだなあ、って笑ってくれればそれもまた嬉しい。

この楽器が完成するまで、楽しみに待っていてくれた方。そして相談に乗ってくれた友人。

撮影に協力してくれたモデルさん。そして、この記事を最後まで読み上げたオタクにありがとう。

8弦ファンドフレットヘッドレスギター

お陰さまです。

あと、ほんとに全部読めた人は早くギターつくった方がいい。

謝辞

以下、敬称略

モデル:河隻こうぜき すい

@sui_kouzeki

8弦ファンドフレットヘッドレスギター

指板の製作・人生相談:962wood works

@962ww

おわり。

8弦ソロギタリストから、アルバムが届いた。

世の中にはソロギターとか言う、難しすぎるジャンルがある。

日本国内であれば、Ichika氏が有名ではないだろうか。海外であれば、Jean Baudin氏など。

ソロギターと言っても複数のプレイスタイルがある。

今日紹介したいのはこの方。

8弦のヘッドレスギターを使い、ピアノのように伴奏とメロディを同時に奏でる器用なギタリスト『MASATooN!(マサトゥーン)』。

僕は勝手に“まさつん君”って呼んでるけど、まだ怒られていない。

いや、ギター上手くてこのルックスはずるい。男でも惚れる。

癒し系のサウンドで全国のカフェや博物館にてライブ。コンセプトは「音の魔法の旅」、まさしくその名の通り。有言実行。

また、その容姿を活かしてジェンダーレスモデル。

さらに、アクセサリーブランド“Fantasy Gallery MiniMuni”の代表もしている。

あまりに優秀で嫉妬すら許されない。

そんな彼が遂にアルバムを発表。

リリースは2023年3月12日。

しかし、もうGETしてしまった。

詳細は彼のTwitterを参照。

僕はもう届いたので早速、音の魔法の旅に出かけている。今すごく優越感に浸っている。

アルバムのタイトルは『Heal』。

8弦ギターはメタル系の楽曲に使われることが多い。

しかし、これはそのタイトルの通り癒し系。

カフェとかお店で流すBGMにぴったり。

前回の作品も重ねて持ち歩いてみた。

そして豪華な特典にもびっくり。

2曲目に収録された「誠心-Seisin-」の譜面。そして、その演奏動画。これにはギタリスト大喜び。

付属のQRコードを読み取れば、Googleドライブからデータで音源を聴くことが出来る。

CDを買わない現代の若者も欲しくなるような製品を作っている。

彼はすごいな。

丁寧な梱包。名刺などのクオリティ。商品を作ってる意識が強く感じられた。これを自らプロデュースして売ってるから本当すごい。見習わなければならない。

あと、お手紙もついていた。

こういう細かい配慮がファンに届くんだと思う。人柄の良さを感じる作品でした。

はやく彼のホームページをチェックして。

いつも声をかけてくれてありがとう。

おわり。

【再塗装】衣替えするのは人間だけじゃない【楽器製作所RMI】

どうも、るいなです。

一度は聞いたことありますでしょうか『リフィニッシュ』。

100回説明されるより1回見たほうがわかる。古来の言い伝えにならって、まずはこの2枚をご覧下さい。

びふぉ(Before)
あふた(After)

真っ白の夏服スタイル。見てるだけでなんか涼しい。

そう、今回はイメージチェンジのために再塗装というカスタムをしました。

「この色あきた!」

「バンドのイメージカラーにしたい!」

といったご要望に応えることが出来る、1番大胆なイメチェン方法ですね。

また、一点物の楽器を手に入れるひとつの手段でもあります。他人と被ることのないオリジナルギターを作っちゃいましょう。

塗装ブースにて乾燥を待つ8弦ギターさん

「え、新しいギター買ったの!?」

「いやいや、実はね…!」

なんてやりとりが巻き起こるのも楽しい。

塗装自体をやり直すため、これまで付いてしまった傷や汚れも一掃することが出来る。一石二鳥。

当工房にて施工する場合、費用は10万円前後。納期は2ヶ月ほど頂戴しております。

やる気と根気と場所と勇気さえあれば、ご自宅でも可能なカスタムです。次の連休はリフィニッシュで予定を埋めちゃいましょ!!!

では早速、施工手順を説明しよう。

とりあえずパーツを取り外していく。

今回に限ってはヘッドの上面に貼られた木材が浮いていたので貼り付ける。これは修理しないとリフィニッシュどころではない。

そしたら塗装しない部分をマスキング。黄色いテープとの格闘。

マスキングテープはこれがおすすめ。粘着力がちょうど良く、ベタベタしない。そして塗料も痛めないので直近1年以上はこれしか使ってない。

ちなみに、こちら“Ibanez RGIF8”というモデル。せっかくのメーカーロゴが消えてしまうが「遠慮はいらん」ということで削り取る※オーナー様には確認済みです。

ボディも同様に塗装を剥がしていく。細かいところは手作業だが、ランダムアクションサンダーあると作業効率が格段に上がる。

木が見えて白くなってきた!!

今回は木材の凹凸をそのまま表に出す仕上げ。ていねいに磨く。

サンディングシーラーを少し吹き付け、いよいよホワイトを塗り重ねていく。この瞬間が1番たのしいいいいい!

やっぱこれだよね、マットホワイト。ほんと好き。

カラーネーム : Snow ice

質感や色味は過去作である『#04 – Cocytus』を参考にした。つくった甲斐があったね、コキュートス。

あと、最近塗装が上手になってきた…こうした経験もご依頼あってこそなので本当にありがたい。

仕上げに艶消しのクリアーを吹いて完成。

手前の豆腐みたいなやつはEMG製ピックアップ。

これも白く塗るとのこと。オーナー様がハイセンスで勉強になりますほんと。

ピックアップの裏側は配線をするので塗らなかった。その為、元々のブラックが見えている。

ここまで来ればもう組み込むだけ。

ひたすら元通りにしていく。

背面もかなり綺麗。イケてる。

配線を戻したり、ネックを取り付ける。

そして完成。

今回はこのまま納品となる。本来なら弦を張り、セットアップもしたいところではある。

ただ、予算のご都合もあると思う。そこはお任せする。

気分転換、衣替え、イメージチェンジとして再塗装をしてしまうというのも選択肢の1つ。

勇気の必要なカスタムではあるが、心機一転。思い切ってお持ちの楽器を衣替えさせてみてはいかがだろうか。

「何だこれめちゃクチャかっこいいな!!ほしい!!」
  • 楽器製作所RMI リフィニッシュ ¥87,450 (税込)~

以上、リフィニッシュのご提案でした。

おわり。