“ナット”について考えていたら寝るタイミングを逃しました。るいなです。
さて!ナットと聞いて、いま何色を思い浮かべました!?
白い牛骨のあなた。金色のブラスはオタク。
黒を思い浮かべた僕は『黒水牛の角』。
そしてこれが今日作った『黒水牛の角』を素材に使用したナット。6弦ギター用です。
そもそもナットとは。
ナットとは、エレキギター・エレキベース、マンドリンなどの様々な弦楽器に使われる部品の名前です。
素材は牛骨やプラスチック、カーボンやブラスが使われることが多い。
弦を支えるための適度な硬さ。そして弦を滑らせるための摩擦抵抗の低さ。
この2つがある程度揃えば、なんでもナットとして使えます。
またナットは弦に直接触れているため、開放弦の音を決める大きな要素。
ナットの役割について。
ナットには、3つの役割がある。
① 弦を支えること。
個人的には、弦を支えるという仕事さえ果たせばそれ以外は何をしても許されると考えている。
そして、必要最低限の機能を持たせたナットがこちら。
いわゆる“スキャロップドナット”と呼ばれている。純正で採用しているメーカーとしては、ケンスミスが有名。
弦を支えることだけに徹した、支柱を作るような構造。
このように、ナットは“弦を支える”という役割を果たせば成立する。
スキャロップドナットの他にも、いくつかユニークなナットが存在する。
でも語り始めると2日くらい止まらないのでその話はまた今度にしよ。
②弦と弦の間を決めること。
ナットの機能として重要な機能。それは弦と弦の空間をどのくらい離すか。
いわゆる“弦間ピッチ”と呼ばれている。
弾きやすさに大きく影響するため、エレキベースの仕様書には明記してあることが多い。
しかし、表記はブリッジ側での計測がほとんど。
ナット側の“弦間ピッチ”を明記することは少ない。
ただ、ナット側での弦間ピッチも確実に弾きやすさを左右する。
例えばこんなナットの調整方法がある。
- 握り心地重視の中心寄せ。
- 手の大きな方のための外側寄せ。
- 弦と弦の空間を統一する溝切り方法。
- 弦落ち対策として低音弦側に全体を寄せる方法。
ちなみに僕は後者の2つを組み合わせた、“弦と弦の空間を統一”して、さらに“低音弦側に移動させる方法”が大好き。
“弦と弦の空間を統一”する理由は、スラップ奏法の際に指の入り心地を均一にすることができるから。
あとは複雑な和音を演奏する際、隣の弦との距離が均等であるため、任意の場所を押さえやすいから。
さらに不本意なミュートも起きにくく、和音を綺麗に鳴らせる。“Periphery – Pale Aura”とか弾く時に最適。
そこに弦の位置自体を“低音弦側に移動する方法”を加え、チョーキングやビブラートなどのベンド奏法の際に弦が指板から落ちる現象を減らす。
ブルーの矢印のように配置することで、1弦側のスペースが広くなる。これによりビブラートで1弦を揺らしても、弦が指板から落ちることが少なくなる。素晴らしい。
あ~ぁ、また特有の早口で話してしまった…
たぶん、なに言ってるのかわかんないと思う。でも許してほしい。ただ好きなナットの構造を共有したかっただけなんだ…
もしこれが理解できた人は今すぐギターを作った方がいい。完成したら公園でギター広げてピクニックしよう。春だし!
③弦をペグまで誘導すること。
これもナットに任された、大切なお仕事。
ヘッドの角度やペグの位置、世の中にはたくさんのタイプがある。
角度つきヘッドなのか、落とし込み式のヘッドなのか。
ギブソンの3対3で置かれたペグなのか、フェンダーの6連タイプなのか。
いずれも決まってペグに向かってまっすぐ溝が切られているか。これが大切だと考えている。
どんな形状でも、珍しい素材を使っても構わない。
しかし、溝と弦のカーブが一致し、弦がペグに向かって張られていること。これを守っていきたい。
「ルールを守って楽しくナット製作!」
遊戯王みたいに言うな。
まとめ
どうだろう。
深夜に寝れなくなった勢いで書いてみたが、楽しめただろうか。
『ナット』とかいう、小さいパーツ1つにピントを絞ってもこんなに遊べる。楽器の沼へようこそ!って感じの記事になったと思う。
間違っていることもあると思うし、みんなの方が詳しいこともある。なので色々教えてください。
ここまで読めたあなたとはきっと仲良くなれる!そう確信している!
んじゃ、僕は寝ます。
おまけ
“楽器製作所RMI”ではナット交換の前に、ナット溝の掃除を行います。
ナットの置く位置に凸凹があると、取り付け後にトラブルが起きやすくなるからです。
既製品をそのまま取り付けることはございません。
楽器に合わせた“ナット”を製作しています。
[ナットの制作と交換 : ¥9,790 ~(税込)]
おわり。