この記事は2019年7月22日に書いたものです。当時の狂ったテンションと拙い文章をお楽しみください。なんだこの恥ずかしい超長文は…
ここでお会いするのもまだ記憶に新しいですね、この度のご来場誠にありがとうございます。”Ruina”と申します。
最近は前髪が燃えたり、日焼けが酷くてお風呂で騒いだりしております。
只今より私利私欲の産物”Cetus”(ケートス)について、それはもう事細かに短編小説を書く勢いで好き勝手にオタクしていこうかと思います。いつも通りですね。よろしくをお願いしたい所存です。
今回も多大なる自慢にお付き合い頂くことになるかと思います、予めご了承下さい。お楽しみ頂ける事を切に願って。
それでは早速参りましょう、まずは全体像。
まず最初に強引に眼玉をこじ開けてくるのはトップ材担当、バックアイバール氏。
白を多く保有したまるであの有名な海賊映画の宝の地図のような風貌。高級ベースブランドを彷彿させる陶磁器のような上品な色合い。
もちろんただの気品漂う材ではない。
中心からハの字に伸びる髭のような穴、ネック周りに茶色が多い事からブリッジ付近にも茶色を付与した。
加えて、両サイドから扇を広げ、なぞるようにびっしりとボディを埋め尽くす杢目、メイプル系にも匹敵する杢をも内包した大変ユニークな模様(杢の名前に詳しい方居ましたら教えてください!
そして、この手の材にありがちな穴をレジンで埋めるやつ。ケートスは穴を埋めず、少量の樹脂を流し込み固定したのちコーティング。このボコボコは触るたびにニヤニヤと笑みをこぼすことが出来る(ニチャニチャ
続いてミドル材担当、ブビンガ。
表から見えないのにも関わらず杢目の出たアコースティックギター用の贅沢な材をあしらった(完全に自己満足
この層があるのと無いのでは大きな違い、木材は重ねれば重ねるほどかっこいいのである(暴論
そしてお馴染みのバック材、アッシュ。
木材に関しては至って普通だが、形状に注目して頂きたい。
ベースなどでありがちなシングルカット仕様なのだが、ご覧の通り穴が空いている。思わず眼が吸い寄せられ、うっかり眼球を埋め込みたくなるような異質な容姿、握り込んだ際には穴から親指が生えてくるのだ、かわいくて仕方がない。
また、ご覧の通り背面も落とし込んでいる。
どこかで見た、と言う方は静かに笑みを浮かべて頷いてみて欲しい。”アレ”である。
ボディは厚いものから削り出している為、外見より軽く感じられ、身体との接地面積が多いので非常に抱えやすい。もちろん例のジャックも採用している。
そしてこの凹み加工の延長線、ネックジョイント部も見て頂きたい。
“太陽系と小人の帽子” と製作中に自慢したところ、みんな揃って意味がわからないそうな顔をしていた。
無用だとは思うが、念の為に説明しよう。
ボディからネックに行く過程であるネックポケット部に、ミドルでも使用したブビンガを挟んでいる、この材のラインをよく見て欲しい、帽子に見えてこないだろうか(見える(強要
そしてその帽子の先端から伸びる潰した楕円のような形状、これが教科書などで図表として描かれている太陽系に見えた、と言うわけである。
そしてこの意味不明な造形物に巻き込まれた被害者、ネック。
ローズウッドを贅沢に削り出し、1ピースで使用。
非常に綺麗な縦のラインを貫く柾目の材に加え、カーボンロッドを2本、ハの字に入れてある。気合い十分である。
そして、1番のこだわりポイントを紹介しよう。眼を取り出して見てほしい。
まるでバックアイバールによる荒廃した土地に、アッシュ・ローズウッド・ブビンガの手によって半円型のアーチ橋が現れたではないか。
ボディ背面の凹みも相まって、空中都市のようなこの造形、まさに創り出したかった理想そのものである(やったぜ
そして本個体の”軸”を担当する指板材も忘れてはいけない。
まるで幼いシマウマような茶色い縦縞模様の毛並みを持つマッカーサーエボニー。
そう、これをピックアップにまであしらっている。まるでシマウマの兄弟が並んでいるようにも見える(強引
1つの材から各パーツに分割し製作した為、木目の繋がった完全な一点物仕様。
そしてこの木目、実はヘッドプレートまで繋がっている。親戚のシマウマの子供が登場したわけだ(上手いことが言えたと思っているのでシマウマが頭から離れない。
ヘッドからピックアップまで途切れる事なく繋がった木目。まるで世界三大河川の1つに加わったかのような表情を浮かべている事が伺える(擬人化するな
カラーリングとしてだけでなく木目も統一させてみたのだが、いかがだろうか。読者の皆様も興奮で鼻息を荒くしているとなれば筆が乗ると言うものである。
そしてこだわりのヘッド、ペグの角度に注目してもらいたい。
「三味線か?」
操作性はもちろん、このスチームパンクな円柱のボタンも相まって武器感が溢れ出ているのがもうたまらない。機械龍のようなこの佇まいによだれが垂れる。
この円柱ペグだが、見た目的な恩恵だけでなく回した際のグリップ感、持ち運びの際のチューニングの狂いを抑える、などの効果を期待し採用したが、感想は”個人差があります”と言い切れる範疇に留まるだろう。グリップ感については非常に好みであったが結局見た目である(重要
そしてヘッド周りの特徴と言えば、ゼロフレット機構や共振防止のスポンジはもちろんのこと、実はナットもかなり希少な逸品を使用した。
Ivoryである。象牙である。アイボリー(しつこい
数年前、とある有名な象牙彫刻家の方のお話を聞いた時の事。
講演終了後も飽きずに象牙をいじくり回す僕。いつまで経っても帰る気配のない僕。すると諭すように
「持って帰って好きなだけ削りな」
と言われ、高級印鑑の代名詞。森の真珠とも言われるあの象牙を手に入れるに至ったのである。もちろん正規輸入品。
象牙といえば密輸などの問題もあり、ワシントン条約も介入してくるデリケートな品ではあるが、環境省によれば
“象牙のカットピース、端材、印材、製品を出品することは、特に手続き無く可能であり、個人的な利用を目的としたこれらの購入も可能です。”(引用)
との事である。つまり、個人で使って楽しむなら全然OK!って感じらしい。
ちなみにゼロフレット機構の為、弦はナットではなくゼロフレットを支点に振動する。つまりナットの干渉はわずかなもので、せっかくの希少な象牙も音響特性に全く関係ないと言えるだろう。結局ただの自己満足だったというわけだ。
だが、逆に言えば負担がゼロフレットへ向かう為、ナットは長年使えるはずだ。また、材質の特性上、経年劣化により秀美性にも磨きがかかること期待ができる。あとは自慢が出来る。
ちなみに質感だが、繊維質を強く感じ、きめ細やか、切削も快適であった。非常に優秀な材質。柔らかい。
象牙ならではの美しい格子状の模様が大変気に入り、まさしく一点物に相応しいナットになったのではないだろうか。気になるお値段の方だが7弦ギター用ペグワンセット分だと思ってもらって差し支えない。
『Ivory nut』(アイボリーナット…////
それにしてもいい響き…つい言いたくなるもん。特有のツヤ感はなににも変えがたい。
さて、続いては肝心な音に関してだが…その前にブリッジに関してさらっと説明しておこう。
ABMシングルサドル(ドイツ製品すき
カラーは全てブラックで統一した、今後の気分次第では混合する可能性もある。乞うご期待。
そしてここ、注目して欲しい。
こちら、弦ゲージ .009-.042 の6弦セット、そして7弦に.062 が張られる事を想定し、弦間のピッチが均等になるよう、各ブリッジが調整され鎮座している。
低音弦での弾き心地や、コードを鳴らした際の振り抜き感などの好みの関係で標準仕様とした。なによりこの弦間を身体が覚えてしまい、これじゃなきゃダメな右腕になっているのだ。
ちなみに僕の尊敬する”Skervesen Custom Guitars”の機構をリスペクトしているが、好みの世界である。どちらでもいい趣味の枠を超えない話に過ぎない。
ただ、ブリッジが7個も弦ゲージを考慮し並べられている様子を眺め、アイスコーヒー片手に至福のひとときに興じたいと思うのは人間の心理としてとても自然な事ではないだろうか(いや色々おかしい
さて、しつこいがまた裏側の話に戻る。
こちら裏蓋、ギター製作者から見たら大したことないとは思う。だが、市販のギターではあまり見かけない仕様になっているので説明しよう。最高な刻印があることも忘れないでね。
実は、裏蓋とキャビティの縁取り部分に磁石が埋め込まれている。
3点の磁力により貼り付けられているが表面に指などを引っ掛ける場所がない。
どうやって取り外すのか、その謎を解明すべく、流石にアマゾンの奥地までは向かわなくても大丈夫なので安心して欲しい。
キャビティの形状をみて察しがいい方ならもうわかるだろう。
この縁取りのない部分に力をかけるのである。
上部以外の三方向からは下に縁取りがあるので力を加えても外れはしないが、上部の縁取りのない部分を押せば簡単に外れるのである。
わかってしまえば大した事ない内容を大層に語ってしまったが、スマートに取り外しでき、ネジで木目の流れを阻害したくないとかいう意味のわからない理由。ここはオタクフェチポイントの1つなのでご了承頂きたい。
よし!もう流石に音の話に行こう!
ピックアップはお馴染み、
Nazgul / Sentient の仲良しペア。
コントロールは
1Vo. 3Way switch
あと、ボリュームノブを引っ張るとシングルコイル化する。
音は…まあ想像はつくだろう、楽器屋さんにたくさん置いてあるメタルなギターのイメージ、そのままである。以上。
楽器の説明をする記事なのだが、音に関する内容が薄いのはどうなんだろうか。だがそろそろ指が痛い。あとがきに移らせてもらう。
【謝辞】
毎度、並々ならぬ協力をしてくださるGoさん(GTI: @go_drums )
(写真: GTI)
今回は指板周り・ピックアップカバー・裏蓋文字入れなどの図面作成、CNCの操作。
他にもPUのスラント化を始め、塗装のあれこれだけでなく、昼食に連れ出してくれたり銭湯に一緒に入ったり、深夜まで熱く語り合ったり…多大なる技術指導をしてくださいました。
お世話になりました、これからもご迷惑お掛けしますよろしくお願いします。
(写真: GTI)
〜あとがき〜
いやいや、今回も長文過ぎた…ここまで読んで下さってる方、相当な時間を頂戴してしまいました。お楽しみ頂けていると幸いです。
実は“Cetus” は自分への誕生日祝いというこじつけもあり、これ以上ないくらい廃課金な仕様にしました。
(写真: GTI)
ちなみに名前の由来ですが、シングルカット部がクジラの頭に見えることから、それに関するものを探していたところ”Cetus”と言う表現がありまして。
どうやら鯨座というトレミーの48星座の中の1つのようです。前作である”Cocytus”を派生させるコンセプトで固めていた為、名前もシリーズっぽくてかわいいので採用しました。
また”海獣”という意味もあるらしく、まさしくこれだ!とはしゃいで命名してみました、いかがでしょうか。クジラを連想してもらえていたら幸いです。
毎度ですが、読者の皆様からの質問・意見・アドバイスなど何かしらで反応頂けたらもう飛んで喜びます。よろしくお願い致します。
それでは今回もお付き合い頂き誠に有難うございました。
これからも”Ruina Miyashiro”の活動をお楽しみくださいませ。
それではまたお会いしましょう。
【Spec】
Model: Cetus
string: 7
Scale: 25.5-26.5
1Vo. 3way switch coil split
・Body
Top: Buckeye burl
Middle: Bubinga
Back: Ash
・Neck
stainless 0fret / 24fret
Rose wood 1peace neck
Macassar ebony fingerboard
・Head
Macassar ebony top plate
・Hardware (Black)
ABM Single saddle
Hipshot tuners
・Pickup
Seymour Duncan Nazugl / Sentient
Macassar ebony cover
Nut: Ivory
: 新しい項目が追加されました。
『New model : Cetus (ケートス)』