るいなと申します。
新宿駅から2時間弱、山梨県の端っこで楽器をつくったり修理しています。最近は車でドライブが好き。

今回の修理は『ネック折れ・ヘッド折れ』と呼ばれている、リペアの中でもトップクラスに派手なトラブルに見舞われた、YAMAHAのアコースティックギター。
さっそく今回の経緯から。
「倒しちゃってネックが…」
「ギタースタンドから倒しちゃって、こんなことに…どうにかなりませんか…?」
との事で持ち込まれたYAMAHA(ヤマハ)のアコースティックギター。
ヘッドとネックが2つに分離しています。

ヘッド折れ・ネック折れの費用
予算は4万円。
具体的な修理方法としては補強を入れるやり方と、簡易的に専用のボンドで貼り付けるリペア方法があります。
ギター本体の新品価格も考えて、今回は簡易的なリペアで進めることに。
しかし派手に、潔く折れている。
ペグを取り外し、修理に取りかかる。
ちなみに今回は大掛かりな補強修理ではなく、“とりあえず弾けるようにする”というギターとしての機能を満たす、必要最小限を目標に設定。
補強を入れる修理方法と比較して、こちらの簡易修理は価格を抑えられる。

修理の過程
実は、このように綺麗に割れている方が元通りに近い形状で修理できる。
というのも時間が経って変形したり、割れた破片を紛失してしまうとその溝を埋める必要があるから。
そうなると手間と時間がかかり、比例して費用も高額になり、お預かりする期間が長引くという、よくない連鎖が生まれる。
折れたらすぐにお近くの楽器店に持ち込み、修理してもらうこと!
すでに折れてしまったギターと向き合い、僕たちが出来ることはこれくらい。

よし。かっこいいセリフも決まった。
はい。手を動かします。
ヘッド側とネック側、両方の破片を取り除き、木材の繊維を元の位置に戻す。
立体的なジグソーパズルを組み込んでいくイメージ。
そして凹凸が噛み合うようになってきたら、断面にタイトボンドを塗り、クランプで接着。
僕はAmazonで買った。
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側面から覗くと修理のやり方がよくわかる。
48時間ほど待ち、叩いてもカンカンと甲高い音が鳴って一体化したことが推測できれば次の工程へ。
今回は簡易修理のため、このまま継ぎ目だけを研磨。
最後にヘッド表側のロゴを保護し、艶消しのブラックで塗装をした。
冒頭でも説明したのでしつこいが、ネック折れ修理と言ってもリペアする人やギター本体の状態の違いによって、正解がいくつも存在する。
僕は今回、簡易的な方法でこのヘッドとネックの折れを修理したが、もちろん補強材を入れる方が丈夫に仕上がる。
どちらを選ぶのかは、楽器のオーナーが決めるべき。
ギター本体の現状やこれから使うであろう寿命の長さ、使用頻度から思い入れの強さなど、総合して自分の考えて修理する方法を選んでいただきたい。
言われたことではなく、自分で考えて選ぶことが大切。
修理完了

できた。
ほとんど継ぎ目がわからないと思う。
艶消しブラックという塗装の特性もあるが、ついこの間までネックが折れていたとは想像できない。
僕も納得の仕上がり。
うんうんうなずいてる。

肝心の表も、ご覧の通り一眼レフでピントを合わせても境目がわからない。
ロゴもヘッドにそのまま残すことができた。
マスキングと塗装のぼかし技術は、これからも高めていきたい。

おわりに
形あるものいつかは壊れてしまう。
もしかしたら、新品を買った方が安いかもしれない。
しかし。
気に入っている物を大切にして、何度も修理して使っていくことはかっこいい。
僕が修理できるのはクルマと楽器くらいだけれど。
“モノ”に歴史を与えていくのは楽しい。

修理が完了してギターをケースから出したとき、オーナー様の目がキラッとしたように見えた。
大切な人から譲り受けたギターだったと、修理したあとからお聞きしました。
おわり。
2026年1月17日更新
