どうも、るいなです。
お久しぶりです。
今回は珍しく、楽器の徹底解説ブログ。
準備はよろしいでしょうか。
※度重なる自画自賛にご注意ください。
ベースのような寸法で製造されたギター。
“バリトンギター”というジャンルの楽器。
バリトンギター初心者の方は、上記の記事をご覧ください。
ボディは“Cetus”と呼ばれるモデル。
小柄で縦に長い、シングルカットタイプが特徴。
僕が自分のために好き勝手ラクガキしたところから製作がはじまった、思い入れのある形状。
今では1番の人気者です。
そして違和感。
ギター経験者なら、なんとなく気がつく違和感。
そう、このギターはネックが長い。ヘッドが遥か彼方。
スケール(弦長)30インチを誇る、文句のないバリトンギター。
ちなみに、フェンダー社のストラトキャスターは25.5インチ。
比較するとどれだけ長いかがご理解いただける。
ミリメートル換算で、11.43cmも長い。
モデル名である、“Cetus melvillei”(ケートス•メルビレイ)。
この名前はそんなサイズ感から由来している。
小説家ハーマン・メルヴィル氏の長編小説“白鯨”より、史上最大の捕食者リヴィアタン・メルビレイに因み、この名前となった。
実は、これは僕のアイディアではない。
この“ケートス・メルビレイ”の名付け親は、楽器のオーナーであるご本人。
最高にセンスがある。
たまらん。
『Whale ivory(ホエール・アイボリー)』
これは色の名前。
ホエールはクジラ。アイボリーは黄色味を含んだ、骨のような白色。
勝手に命名させてもらった。
ちなみにオーナーは、この色をクラシックカーみたいだと表現してくれた。
確かにBMWミニで採用されていた“ペッパーホワイト”や、イギリスの古き良き“オールドイングリッシュホワイト”に近い発色。
ブリッジはHIPSHOT。
ピックアップはInstrumental Pickups。
円錐のポールピースがとにかくクール。
大切に在庫していたセットを奮発して搭載した。
締結ビスは六角。
別に+ドライバーで回せるネジでも機能としては問題ないんだけどね。
六角の方が安心感があるし、見た目が好み。
自分が欲しいと思える楽器をつくる。
ヘッドはいつもの。
メイプルにジリコテの突板。低音弦側のワッシャーのみシルバー。
シンプル。
世界でいちばん美しいギターのヘッドデザインだと思っている※それってあなたの感想ですよね。
0フレットを採用しており、ナットは弦間を決める役割に徹する。
フレットには、ステンレス製の「ジェスカー#55090」を使っている。
背が高く細い、個人的に好きなフレット。
透明のアクリルナットは水のよう。
水滴を目指している。
「ボリュートは大きければ大きいほどよい」
これは個人的な意見なので、鵜呑みにしないで欲しい。
小さいボリュートも受け入れる、大きな心を持つことが今後の課題。
カーボンロッドが2本。
指板とネック材の間から、下駄のような断面図を見せてくれている。
カーボンが入っていることを、視覚的にも楽しむことができる。
裏には突板を貼った。
ヘッドトップと同様、木材はジリコテ。
こちらを中心で見開いたような構図で貼り付けた。
我ながら正解の選択。
指板、ヘッドトップの突板、ヘッド裏の突板。
これらが全てを、メイプルが挟み込まれるように配置した。
隣接する面は異なる素材だが、統一感は損なわれない。
これまた正解だった。
ペグはHIPSHOT製。
ヘッドの一帯は総じて、落ち着いたオーナーの雰囲気に似合う配色となった。
ボディはアルダー。
同じ木から切り出した、2枚の板材を貼り合わせた。
人工乾燥済みであるためか、非常に軽く、叩くとよく響く。
いわゆる“セットネック”にてネックを固定。
クラシックフォーム、という親指をネック背面に沿わせて演奏することを推奨する形状。
ギターに演奏スタイルを矯正させられる。
弦は裏から通すタイプ。
太さは低音側から、
【.080・.060・.044・.032・.024・.016】
となっている。
8弦ギターから、1弦と2弦を削るとこうなる。
ちなみに、チューニングはオクターブ下で
【D・A・D・G・C・E】
となっている。これもオーナーのご希望である。
さすが。
ジャックは切り欠きがあり、シールドが収まるようになっている。
正面からギターを見た際、シルエットを崩さないので毎回これ。
シールドが飛び出ないので、トラブルも少なく機能的。
裏蓋は透明。
アクリルを使った。
ナットとマッチングさせている。
刻印は裏から鏡文字で掘ってあるため、触っても凹凸がない。
初見では、どうなってるのか理解ができないところがまたよい。
塗装は半艶消し仕様。
艶消しと、艶アリを“6:4”で混ぜて塗料をつくった。
ストラップピンは埋め込み式。
ギターのシルエットを崩さないという硬い意志を感じる。
ベッコウのピックガードを外して使うことも想定し、刻印はボディ上部の低音弦側に配置した。
シンプルながら、異常性が輝く。魅力に溢れた楽器が完成した。
ここまで見てくれて、ありがとうございます。
今年もお世話になりました。
おわり。