こんにちは、るいなです。
いよいよ夏も本番。いかがお過ごしですか。
僕はポテト&キャラメルラテ両手に夕方のお散歩。あとは読書のために公園までドライブ。そして真夜中に工房の草取りなどしています。ずっと真夜中でいいのに。
さて、今回は『全体調整』についての後編。
前編に引き続き、具体的な作業の内容を解説していく。
では早速。
③オクターブ調整
これは“12フレットでのチューニング”と考えてもらえればわかりやすい。
音程が正確だと音がスッキリする。特に、バンドで音を合わせた際にそう感じられるだろう。
開放弦でのチューニングはあなたもしているはず。ただ、それだけでは12フレット以上のハイフレット付近を押さえた時に音程がずれていることがある。
これはギターやベースという楽器の特性上、弦の太さが違うために起こる現象。6弦のギターなら1弦と6弦の太さを比べてみてね。
具体的にはブリッジに付いている駒を前後させ、開放弦と12フレット付近の両方でチューニングし、音程が合うようにする。
これを『オクターブ調整』という。
新品であればメーカーから出荷される際に調整してあるはずだが、演奏していると少しずつズレてくる。
その為、定期的にチェックする必要があるのだ。
④指板のケア
これは2つの項目を指す。
“フレット磨き”と“保湿”だ。
フレットを磨くと右のようにピカピカになる。
これによる恩恵は“フレットの上をスライド”させる奏法(チョーキング・ビブラート)の際に滑らかに動いてくれること。
くすんだフレットでは、ガリガリと削るようにチョーキングするため弾き心地が悪いと感じるはず。
具体的な作業としては、ピカールをメガネ拭き用クロスに染み込ませ指でひたすらゴシゴシ!以上!
なんとも地味。
そして指板の保湿は写真の通り。色が濃くなり、艶が出ているのがわかるだろうか。
黒っぽい色の指板であれば、半年に一度ほどこの保湿を行う必要がある。
なぜなら最悪の場合、乾燥しすぎて割れるから。
実はこのような黒い指板(ローズウッド・エボニーなど)は木材が剥き出し。塗装がされていないためデリケートなのだ。
※リッケンバッカーなど、ローズウッド指板でも塗装されている楽器もある。
なのでその最悪のケースを避けるため、半年〜1年に一度は保湿することをおすすめする。
ちなみに当工房ではワックスを使って保湿している。
もちろん、昔ながらのオレンジオイルやレモンオイルでもOK。
個人的には固形タイプが好みだったため、ねこだまり工房さんの蜜蝋ワックスを使用している。
⑤弦交換
これはその名の通り、弦を新しいものに交換する。
あなたも弦が切れれば交換すると思う。
しかし、そうでなくても時間の経過により金属製の弦はサビたり伸びたりするため、定期的な交換をおすすめしている。
個人的には『全体調整』をしながら交換してしまうのがよいと思っている。いい機会だし。
音程が合いにくくなってきたり、触ると茶色い粉(サビ)が出てくるならすぐに交換しよう。
実はこの弦交換も奥が深くて。
なんと“弦の巻き数”によっても弾き心地が異なる。
多めに巻くと強く張られているように感じ、ロックペグなどにより1周程度の巻き数だと弦がゆるく張られているように感じる方が多い。
これはナットへの“入射角”が影響し、弦が振動する位置が変化するため、弾き心地が変わるのだと推測している。
例えば、当工房の作品の多くはダウンチューニングにも耐えられるよう、弦がナットへ向かう角度は大きめの傾斜をつけている。
ロックペグを採用しているため、巻き数を増やせず入射角を稼げない。代わりにヘッド自体の落とし込みを深くすることで入射角を稼ぎ、ダウンチューニングでも張りを保った弾き心地になるように努めている。
この“ストリングガイド(白い4つ付いてるやつ)”もその入射角を指定するためのアイテム。
「………ちょっと待って」
あまりにもオタクな内容になってきた反省。
ということで“テンション感”については諸説あり、感覚的な話にもなってくるのでこの場では以上とする!
いずれデータを取って明確にしたいね。
なんかめっちゃ語ってしまった!恥ずかし!
【まとめ】
『全体調整』を広く浅く、後編は一部を深めに紹介してみました。いかがでしたか。
初心者からマニアックな上級者まで、楽しんでもらえる記事になっていたら何よりです。
最後の“⑤弦交換”のように突き詰めようとすると色んな説があります。
こんな意見もあるんだな、と参考程度にしてください。
以上、RMI流の全体調整でした。
- 楽器製作RMI 全体調整 : ¥3,300(税込)~
それではまた会いましょう。
おわり。