クルマは内装で選ぶ。
僕は触れる時間が長いものほど、大切であると考えている。
相棒となる自動車は部屋でもある。
つまり、住めるレベルで実用的。かつ、美しいインテリアを持つクルマでなければいけなかった。

見てほしい。
これは住める。
ドアを開けると、革と接着剤の混ざったような変な匂いがする。
イタリアの匂いってこんな感じなのかなぁ。想像が膨らむ。
行きたいな、イタリア。

ちなみに、内装の素材や色はオーダーメイドで選ぶことが可能。
その組み合わせの数、なんと400万通り以上。
しかし今は新車を作っていないので、購入するならば過去に作られた車両の中から好みを探すしかない。
ただ、僕は運がよかった。
以下の通り、全てが自分好みにセレクトされた個体と出会うことができたのだから。
目次
本編
足元

・色:ブラック(ネロ:Nero)
汚れるもん。最初から黒い方がいい。
純正のカーペットは毛足が長く、ふかふか。
靴を脱いで寝ることができる。
座席(シート)

・色:ブラウン(マローネ・コルニオーラ:Marrone Corniola)
オタクは黒い服を着ることが多い。そのためベージュやホワイト、グレーなどのシートは擦れて黒ずむ。
ならば、黒革にすればよかったのか。
それは違う。

室内は明るい方が好きだ。
つまり中間の茶色がベスト。
ちょうど良い色なのだ。

そして、すべての座席がボタンひとつで調節できる電動シートを装備。
さらに全ての座席にシートヒーターを搭載。もれなく全員のお尻があったかい。

至れり尽くせり。
ステッチ

・色:ホワイト(ビアンコ:Bianco)
ブラウンの革シートを縫い付ける白いステッチ。
これはホワイトしか視野になかった。
ブラウンのシートには白のステッチを使うと遺伝子に組み込まれている。
コントラストが美しいからね。
天井

・色:ベージュ(Beige Perlato)
・素材:アルカンターラ
天井の色が明るいことで車内は数倍にも広く感じる。
幸い、天井は触ることがない。
つまり、ベージュを使っても汚れる心配がない。
繊細な人口皮革である、アルカンターラも劣化しにくい。

ステッチがホワイトであることが決まっていたので、天井もおのずとベージュ。
要するに天井はベージュのアルカンターラ以外、視野になかった。
ステアリング(ハンドル)

・色:ブラック(ネロ:Nero)
・素材:黒革
常に触れているハンドル。
これは汚れの目立ちにくい、黒系がよかった。
実は、木目調のハンドルの個体も存在する。
木材が好きな僕としては、それも捨てがたい。
しかし、その場合はクリアの塗装がされたウレタン系のペタペタとした触り心地となる。
それは少し安っぽく感じた。
やはり革巻きのブラックが、触り心地含めて個人的なベスト。
インストゥルメントパネル(ダッシュボード)

・色:ブラック(ブラックピアノ:Black Piano※ハイグロス)
ここはブラック系か、ブラウン系のレッドウッドレースバールの素材がベストだと考えていた。
この個体はブラックの艶があるハイグロスのクリア塗装。
触れる機会のないパネル類は、艶があるものでよかった。
その名の通り、ピアノが置いてあるような落ち着きがある室内に仕上がっている。
まだ僕には大人っぽすぎるが、もう少しすれば似合ってくるはず。
一生乗るつもりなので、少し背伸びしたところからスタートするのは悪くない。
おじいちゃんになる頃には、このインテリアがぴったり肌に馴染むだろう。
その他
オーディオ

5.1チャンネルらしいので、映画館みたいに立体的に音が聴こえる。
スペック的には“BOSE”のスピーカーを合計11個搭載しているとのこと。
これは現代でもあんまり見ない。
あとは走行中のノイズをリアルタイムで消す、オーディオパイロット機能がついてる。
あまりにも豪華。文句がない。
ただ、この車はエンジンの音がすでに楽器なのでオーディオは必要がない。
軽量化のために、オーディオ周りは撤去するのも選択のひとつだと考えている。

しかし以前、大好きなアニメ“東のエデン”を垂れ流してドライブしたことがある。
この車両の製造された2000年代初頭にタイムスリップしたような感覚を味わうことができた。
この感動は忘れたくない。
気分はイタリアの第11代大統領、ジョルジョ・ナポリターノ氏そのもの。
パドルシフト

これはマニュアルの車に乗ったことがある人ならわかるかもしれない。
発進の際は1速。走り始めたら2速、3速と変速をしていくのだ。
要するに自転車のギアみたいな感じ。
この車はその変速をハンドルの側面に付いた、パドルシフトという機能で行う。
その突き出たバーのデザインが素晴らしい。
パドルシフトはスポーティな車に搭載されることが多い。
それも、カーボンやプラスチックの板を素材とすることが多い。

しかし、この“S”グレードに限りメッキのスティック付き!
無印の“クアトロポルテ”ではこの造形はない。(ハンドル後ろのボタンで変速は可能とのこと)
上位グレードの“GTS”はスポーティーなカーボンで造形されている。
僕は他のどれでもない。絶対にメッキスティックが欲しかった。
ゴージャス。ファビュラス。エレガンス。
クーラーボックス

この車にはクーラーボックスがついている。
350mlの缶なら2つ。500mlのペットボトルなら1つ収納することができる。
エアコンの空気を使い、センターコンソール内のスペースに送り込んでいる。
単純な仕組みだがおもしろい。
2009年に製造されたクルマなんだけど、これは当時の感覚では衝撃的だったと思う。
当時の最先端!を感じることができるクルマ大好物なり。

クーラーボックスある車、他にもあったら教えて!
飲み物の温度が変わらないように頑張る姿。あまりにもかわいい。健気で。
アナログ時計

現代の車は液晶パネルに時刻が表示されていることが多い。
しかし、この年代はアナログの時計を装飾。
レトロでたまらない。
クルマの中心に、腕時計より少し大きめのサイズで埋め込まれている。
これが意外と正確な時刻を刻む。

そう、イタリアの車は世界で1番故障が多いと言われている。
もちろん否定しないが、内装に関してはそこまで言う必要はないと思う。
アナログ時計は切り取って腕時計にしても良いくらい正確だし、インテリアの質感も重厚感がある。
ボタン類がベタベタするのもイタリア車である証拠だし、窓を何度か開け閉めするとガラスが落ちるのだって持病だから仕方ない。

そもそもボタンなんて触らない。
窓だって、1箇所壊れてもまだ3枚楽しめる。それがマセラティのクアトロポルテ。4枚ドアのいいところだ。
ちなみに、うちの個体は納車される数日前に左後ろの窓が落ちた。
今はもう開かないように固定してあるので安心。
窓なんて落ちるくらいなら固定してしまえ。ホトトギス。
まとめ

まずはこの内装でオーダーしてくれた、最初のオーナー様にありがとうを言いたい。
この内装を手がけたであろう、イタリアの名門家具メーカーのポルトローナ・フラウ(ポルトローナ・フラウ(Poltrona FrauPoltrona Frau)にも感謝を伝えたい。

内装についてはベタベタ。
窓は落ちるから開けられない。大好き。
こんな具合でマイナス点はたくさんある。
ただ、完璧なクルマなんて存在しない。
欠点も全部引き受けて、理解するメンタルを持つことで幸せになれると思う。

「好きなだけ壊れろ、とことん付き合う。」
そう思って必死に維持しています。
おわり。
